研究概要 |
インターフェロンα(IFNα)感受性の異なる腎癌細胞株の網羅的遺伝子解析による比較から抽出した感受性に関連する遺伝子群から単独発現量がIFNα感受性と相関の良好なMITF遺伝子について、その発現とMITFによりプロモーターを制御されるとするp16INK4a(p16)に注目しその発現、そのペプチド導入によるIFNα感受性の変化について検討した。 腎癌細胞株4株(SKRC-17,59(感受性株)、-12,33(抵抗性株))のp16発現は全例RNAレベルで欠損が認められた。IFNα抵抗性株(SKRC-33)にMITFを遺伝子導入により強制発現させた場合にも、p16の発現は上昇しなかったが、これはp16欠損によることが-因と考えられた。そこで、p16ペプチド導入とIFNα感受性の変化を検討した。ペプチド導入は導入用トランスポーターペプチド(Wr-T: KETWWETWWTEWWTEWSQ-GPG-rrrrrrrrr)を用いて、p16機能性ペプチド(p16MIS: rrrrrrrrr-GPG-FLDTLVVLHR)を導入した。FITC標識によりP16MISは濃度依存性に細胞質、核内に取り込まれることが確認された。腎癌細胞株4株に対してp16MIS導入の有無によりIFNα感受性を検討したところ、感受性株(SKRC-17,59)ではp16導入後も感受性が維持されたが、p16MIS導入とIFNα感受性増強は明らかでなかった。一方、抵抗性株(SKRC-12,33)においては、p16導入によりIFNα感受性増強した。MTTアッセイによる感受性測定ではSKRC-12株で約2.5倍、SKRC-33株で100倍以上の増強が認められた。 IFNα抵抗性の腎細胞癌においてp16機能性ペプチドの導入はIFNαの感受性を増強させる可能性が考えられ、マウスの腎癌細胞株同所移植による治療モデルの作成を行う予定である。
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