研究課題
基盤研究(C)
ヒト培養細胞(前立腺癌;LNCaP, PC3, DU145,正常前立腺上皮細胞;PrEC)およびヒト前立針生検検体、膀胱癌、腎癌を標本として、real-time PCR法により、プロスタグランジン(PG)合成系(COX-1,COX-2)、同分解代謝系(prostaglandin transporter PGT, 15-hydroxy-prostaglandin dehydrogenase PGDH)、EP受容体(EP1-EP4)のmRNAレベルの発現定量を試みた。laser capture microdissectionにより、前立腺針生検検体では対照として前立腺肥大上皮細胞を同一標本より、また膀胱癌では同一固体より正常膀胱粘膜上皮細胞を、腎癌では同一標本から正常尿細管上皮細胞を補足した。PrECで発現していたCOX-1, COX-2はいずれの培養前立腺癌細胞でも発現が著しく低下していた。PC3とdihydrotesosteroneの存在下に培養されたLNCaPではPGTの発現の減少(5分の1以下)と著しいPGDHの過剰発現(約258倍)を認めた。DU145ではこれとは逆に、PGTの過剰発現とPGDHの極端な発現の減少(約20分の1以下)を認めた。前立腺針生検検体、ヒト膀胱癌組織では、PC3などと同じ発現パターンの変化を認めた。この傾向と、Gleason scoreとの相関は認めなかった。ヒト腎癌では対照との違いがなかった。また、EP状態の発現は癌の種類に特異的な一定の傾向を示した。PG分解代謝系遺伝子群も、産生系遺伝子群の発現異常とともに発現の状況を変化させることにより、細胞内外におけるPG環境を特定の異常状態導き、細胞内外に存在する特異的受容体を介して発癌、細胞増殖、アポトーシスシグナリングの制御に関わっていることが予想される。
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