研究概要 |
レジニフェラトキシン(RTX)膀胱内注入療法の臨床的検討: 難治性の排尿筋過活動(DO)患者6例(特発性,神経因性各3例)及び間質性膀胱炎(IC)患者6例,計12名を対象として,RTX膀胱内注入療法(1microg,100ml,30分間)を施行し,その有効性および安全性を検討した.DO患者群では評価不能例1例を除く5名中4例において,治療後1週以内に効果が発現し,その効果は3〜9か月間持続した.IC患者群では6名中5名に治療後1週以内に症状が改善したが,その効果の持続は1〜2か月間であった.治療中・治療後,特に有害事象を認めなかった.本注入療法は,難治性の排尿筋過活動や間質性膀胱炎に対する新しい治療法として期待しうるものと考えられた. 間質性膀胱炎(IC)患者における膀胱電気刺激知覚閾値(CPT)測定: IC患者5例および前立腺肥大症(BPH)患者8例に対して,ニューロメーターを応用して膀胱粘膜CPT測定を行った.その結果,IC群ではBPH群に比べて,2500Hzおよび250Hzの周波数に対するCPT値はいずれも有意に低下しており,5Hzに対するCPT値も低い傾向を認めた.IC患者5例中3例にはRTX療法4週後にも同様の測定を行ったところ,臨床効果と並行して3種類いずれのCPT値も治療後増加する傾向があった.IC患者は膀胱粘膜知覚過敏があり,RTX療法は膀胱の知覚過敏を改善させる効果があることが示唆された. ヒト羊膜を利用した膀胱拡大術の有効生の検討: ラットの膀胱頭側半分を切除し,ヒト羊膜を膀胱欠損部に縫合して補填すると,羊膜を足場として,尿路上皮,平滑筋,血管・神経が再生し得ること,並びに,膀胱容量増大効果があることを検証した(Tissue Engineeringに論文公表).
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