研究課題/領域番号 |
18591748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
有馬 公伸 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10175995)
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研究分担者 |
石井 健一朗 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90397513)
杉村 芳樹 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90179151)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | NRP152細胞 / TGFa / レトロウィルスベクターLZRS / CK14 / α1遮断剤 / マッソントリクローム染色 / コラーゲン線維 / 平滑筋 |
研究概要 |
【主題1】ラット前立腺の基底上皮細胞由来培養細胞株NRP152へTGFa発現レトロウィルスベクターLZRSを導入し、TGFa過発現NRP152細胞を作製した。 NRP152細胞におけるTGFaの過発現は、その受容体EGFRの発現量には影響しないものの、ARおよびERK1/2の意な発現減少を確認した。TGFaの過発現で細胞間接着が高まる傾向が認められたものの、継代を重ねる毎に対照群と何ら変わりなく、さらに細胞増殖の速度にも違いを認めなかった。免疫不全ヌードマウスの腎被膜下へ移植したTGFa過発現NRP152細胞ではCK14発現が確認された。対照細胞ではCK14発現が消失したため、TGFaの過発現が、細胞内シグナルを変化させ、NRP152細胞が有する基底上皮細胞の特徴を維持する可能性が示唆された。なお、本細胞をラット胎児泌尿生殖洞間充織細胞と組み合わせ、前立腺構造の再構築を試みたが、病理組織学的な検討に至る結果は得られなかった。 【主題2】前立腺肥大症治療においてα1遮断剤は、長期投与により治療効果が減退する。我々は、α1遮断剤治療が前立腺の組織構築に及ぼす影響、とくに前立腺間質の構成成分に注目して組織学的検討を行った。 生検施行例のうち非内服群21例とα1遮断剤内服群24例、そして術前α1遮断剤により治療された肥大症患者23例の手術組織についてマッソントリクローム染色を施行し、間質におけるコラーゲン線維と平滑筋の比率を算出した。間質の70%以上を線維が占める高値群は非内服群が4/21例(19.0%)であることに対して、α1遮断剤内服群(生検)で16/24例(66.7%)、手術症例では11/23例(52.2%)に認められ、α1遮断剤の内服により線維の占拠率が高い症例が多数、存在することが明らかとなった。ゼノグラフトモデルにおいては、タムスロシン投与により間質におけるコラーゲン線維の質的および量的な増大傾向が認められる症例(4/11例)が確認された。以上より、α1遮断剤はα1受容体シグナルを遮断することで間質細胞の分化に関与している可能性が示唆された。
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