研究概要 |
本研究の前段階として我々はPLA-CLとコラーゲンからなる材料で尿道再生に成功し、下記論文(Kanatani, et. al.:Tissue Engineering 13:2933,2007)にて報告した。そこで同様の材料を作製し、ウサギ尿管においてチューブグラフト置換を試みたが、尿管径が細く縫合が困難であり、このモデルを断念するに至った。そこで、発想を転換し尿管の外側からの修復を促進するアプローチを考えた。 そこでまずbFGF徐放ゼラチンシートを作製し、ラット膀胱外側に貼り付ける実験を行った。その結果、bFGF徐放により膀胱平滑筋細胞は有意に増殖し、typeIIIコラーゲンの発現増強シフト、さらに膀胱の収縮力が増強することを見出し、下記論文(Imamura, et. al.:American Journal of Physiology.Renal Physiology 293:F1007,2007)にて報告した。さらには今回の一連の実験から派生して、bFGFが過活動膀胱に関与するという新たな知見も得られた。 次に、bFGF徐放ゼラチンシートをラット尿管に巻きつける実験を行ったところ、2週間後の観察では毛細血管の増生および尿管壁の肥厚が確認された。この現象が尿管の機能的再生に寄与しうるかどうかの評価が今後の課題である。
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