研究課題/領域番号 |
18591751
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神波 大己 京都大学, 医学研究科, 助教 (20402836)
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研究分担者 |
中村 英二郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (90293878)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00281098)
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キーワード | 腎細胞癌 / 腫瘍血管 / 抗血管新生療法 / fenestration |
研究概要 |
手術にて得られた25例の淡明腎細胞癌(CC-RCC)組織を毛細血管内皮のfenestrationの数(EF)に着目し腫瘍血管の微細構造を電子顕微鏡下に調べたところ、VHL遺伝子変異をもつCC-RCCの腫瘍血管内皮細胞はEFが有意に多かった。引き続きH19年度の研究計画に従い下記の検討を遂行した。 1)RCC細胞株を用いたxenograftの作製と腫瘍血管微細構造解析 VHL-/-RCC細胞株pRC3からのxenograftはVHL+/+RCC細胞株WT8からのものに比べて腫瘍血管内皮のEFは有意に多く、臨床検体と類似した微小血管環境が再現できていると考えられた。しかしながら、WT8にHIFα・VEGFを発現させても血管密度(MVD)、EFはpRC3と同様の増加は認められなかった。 2)XenograftでのVEGF依存性血管量と薬剤感受性の相関解析 Bevacizumab投与によりpRC3 xenograftは有意に腫瘍増殖が抑制され、腫瘍血管のMVD及びEFが減少した。WT8の腫瘍増殖は抑制されず、MVD及びEFは変化しなかった。mTOR阻害薬を用いた検討ではWT8・pRC3共に腫瘍増殖が抑制され、MVDも減少したが腫瘍内VEGF濃度、EFは変化しなかった。 VHL遺伝子変異を持つCC-RCCはVEGF依存性腫瘍血管が多く存在し、VEGF標的治療に対する効果が高い可能性が示唆された。また、mTOR阻害薬は直接抗腫瘍効果のみならず抗新生血管作用が報告されているが、VEGFを介さずに腫瘍血管に作用していると推察された。局所VEGF濃度はVEGF依存性血管量を反映しないことから、VEGF標的治療の対象となるCC-RCCを選択する上で、腫瘍血管の毛細血管内皮のfenestration並びにVHL遺伝子変異の有無は効果予測マーカーとして有用であると考えられた。
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