研究課題
基盤研究(C)
腎細胞癌の新規治療法及び予防法を確立する目的で、感受性遺伝子候補の検索、候補遺伝子の発現解析を行った。(1)研究対象ゲノムDNAは、全国11大学からなる泌尿器疾患ゲノム研究会で集積した症例で、腎腫瘍登録症例DNA試料241例と対照群186例であった。OCT1の3箇所、OAT1の3箇所について遺伝子多型解析を行い、その多型出現頻度を比較した。いずれの場合も、患者群と対照群とで有意差を認めなかったが、公共のSNPデータベース上の出現頻度情報とは大きな違いがあることが判明した。これに関して、解析母数の違い、解析方法の違い、本研究における対象患者群および対照群の地域特異性の反映、などが考えられ、更に詳細に解析を進める必要があると感じられた。(2)これらの候補遺伝子の腎癌組織における発現解析を行ったところ、腫瘍部位には発現が極めて低いことが判明した。(3)腎癌感受性SNPのトランスポーター機能への影響を、腎癌培養細胞株を用いた遺伝子発現量から解析した。腎癌細胞株は、定常状態における遺伝子発現と、増殖促進因子や炎症惹起物質で処理したときの遺伝子発現への影響を定量、比較した。また、ラットにおいてはこれらの遺伝子発現量に性差があることが知られているので、性ホルモン関連物質で処理したときの比較も行った。各遺伝子の発現量は、対象腎癌細胞株の遺伝子多型解析結果との相関について解析した。OCT1とOAT1の発現レベルは細胞株によりやや異なるが、極めて低く、また、薬剤による誘導/抑制も異なっていたがSNP genotypeとの関連性については認められなかった。腫瘍組織におけるトランスポーターの発現についてと同様に、さらに詳細な検討が必要と思われた。現在、全国多施設からゲノム解析対象症例がさらに集積中であり、本研究のさらなる推進により、新規腎癌マーカーの開発、新規治療標的の検索が可能となることが期待された。
すべて 2007
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