研究課題/領域番号 |
18591767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
河合 憲康 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20254279)
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研究分担者 |
井藤 彰 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (60345915)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40264733)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30122047)
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キーワード | 前立腺癌 / 骨転移 / 温熱治療 / リボソーム / 磁場誘導組織内加温法 / 骨破壊 / 破骨細胞 / 細胞増殖 |
研究概要 |
【目的】患部とともに正常部分の温度が上昇するという従来の温熱療法の欠点を補うために、腫瘍内に注入した媒体を発熱させることにより直接腫瘍を加温治療する組織内加温法が開発された。私達はその効果をより一層上げるため、N極とS極が相互に交差しながら磁気場が発生する交番磁場で発熱する酸化鉄粒子を正電荷リボソームで包埋した「正電荷リボソーム包埋型磁性ナノ粒子」(以下MCL)をナノテクノロジーを用いて開発し、MCLを腫瘍内に注入した磁場誘導組織内加温法(以下MCL Heat Therapy)を動物実験で確立した。再燃前立腺癌骨転移巣の治療への可能性を検討した。【方法】F344ラット頭頂部皮下にラット前立腺癌細胞株PLS-Pを移植し、頭蓋骨を浸潤破壊する骨微小環境内前立腺癌増殖モデルを作成した。その直径7mmに成長した腫瘍塊にMCL 2mgを注入し、24時間ごとに3回の交番磁場30分間照射を行った。腫瘍塊を腫瘍・骨境領域(Tumor Bone Interface : TB-I)とそれ以外の腫瘍単独領域(Tumor Alone Area : TA-A)に分けて、(1)腫瘍の体積(2)骨破壊の程度(3)破骨細胞数(4)腫瘍細胞増殖を検討した。MCLを注入し交番磁場照射した5匹を治療群、腫瘍のみ移植した5匹をコントロール群とした。【結果】治療群5匹のうち3匹が死亡した。残り2匹の治療群の検討では腫瘍体積はコントロール群より60%減少した。頭蓋骨の破壊は標本上の頭蓋骨全長に対する骨完全欠損部の長さの割合(頭蓋骨破壊比率)で算出した。頭蓋骨破壊比率は治療群、コントロール群でそれぞれ70%,40%であり治療群で頭蓋骨破壊が抑制された。破骨細胞数は組織標本上の計測で治療群、コントロール群でそれぞれ520,310と治療群で減少していた。細胞増殖をPCNA染色で計測したが、コントロール群ではTB-1での細胞増殖はTA-Aより上昇していた。その上昇しているTB-1での細胞増殖は治療群では有意に抑制されていた。【考察】TB-1で骨破壊、細胞増殖抑制が認められたことより、骨転移巣の治療への可能性も認められた。
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