研究課題/領域番号 |
18591772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
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研究分担者 |
藤田 哲夫 北里大学, 医学部, 講師 (00306599)
前田 忠計 北里大学, 理学部, 教授 (90265728)
大石 正道 北里大学, 理学部, 講師 (40233027)
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
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キーワード | 腎細胞癌 / プロテオミクス / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
プロテオミクスの手法を用いて、新規腫瘍マーカーの発見を目的とし本研究を始めた。 腎細胞癌組織は、北里大学病院泌尿器科でインフォームド・コンセントにより了承の得られた手術検体を使用し、病理学的に腎臓癌(clear cell type)と診断された患者の全摘出した腎臓の癌部と正常部における蛋白質の発現量の違いを検討した。 癌部と正常部の繊をそれぞれアガロース二次元電気泳動で展開し、そのゲル上のパターンより、発現量に違いのあるものを候補とした。そしてトリプシンを用いた酵素的ゲル内消化を行い質量分析計(LC-MS/MS)によってタンパク質を同定した。癌組織と正常組織の二次元電気泳動パターンを比較すると、全体のパターンは互いに似ていたが、分子量60kDa〜120kDaの高分子量タンパク質領域や等電点pH7〜pH9の塩基性領域で、多数のスポットに違いが見られた。癌部で発現量が増加したスポットは8種類、正常部で増加したスポットは9種類存在した。本研究で見つかったタンパク質を機能ごとに整理すると(1)解糖系とTCAサイクルに関わる複数の酵素に増減が認められたこと、次に(2)細胞接着に関わるアクチン結合タンパク質に増減が認められたこと、(3)ビタミン作用のある葉酸の合成に関する酵素が減少していたこと、(4)糖新生に関わる酵素が欠失していた。発現量に変化の認められた蛋白質のうち現在までに文献的に報告のある蛋白質を除外し、腎細胞癌に関係する報告がないにも拘らず、本研究からヒト腎細胞癌組織で増加した5種類のタンパク質を有望な新規腫瘍マーカー候補とした。今後、これらのタンパク質に対して特異的な抗体を購入または作成し、多数の患者検体を用いて、ウエスタンブロット法または免疫組織染色法などによって、これらのタンパク質の腫瘍マーカーとしての有効性を確認していくことが課題である。
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