研究課題
(1)組織での検討腎細胞癌の癌部と非癌部のタンパク質を抽出し、agarose2-DE法で展開し、タンパク質の量的変化を解析した結果、量的変動が認められるタンパク質を新規マーカー候補とした。そのうちウエスターンプロット法による検証においても有意差が認められたタンパク質2種類については、免疫組織化学染色による検討を開始。同時にこのタンパク質については既知の腎細胞癌培養株間における発現量の差をウエスターンプロット法にて検証した。(2)腎癌培養細胞培養上清中のタンパク質の解析腎癌との関連の報告されていないタンパク質Galectin-3-binding protein<65313>:ProSAAS<27354>:Profilin-1<15036>の3種類を新規マーカー候補とし、これらのタンパク質の抗体を入手した。手術検体4例を用いてウエスターンブロット法で検討した結果、Profilin-1が4例共に癌部特異的に増加していることを確認した。Profilin-1について今後、免疫組織化学染色法で検討した。(3)血清腎細胞癌患者の術前と術後の血清を2例比較検討を行った。タンパク成分に関しては抗体カラムにより血清中の約80%を締めるアルブミンと免疫グロブリンを除去した血清中の微量タンパク成分を再現性の良い逆相HPLCで25分画し、この分画物中のタンパク質をSDS-PAGで定量分析を行い、ペプチド成分に関しては北里大学理学部で開発したペプチド抽出法を用いて高効率に再現性良くペプチド成分を濃縮し、その成分をペプチド用の逆相HPLCカラムで60分画したものを質量分析計(MALDI-TOF MS)で分析した。上記により低分子量のペプチドレベルからタンパク質レベルまでの網羅的解析が可能となる。この技術を用いて、パイロットスタディーとしてまず腎癌患者2名の血清(術前・術後)を比較したところ1つのペプチドが術後に2名共通して減少していた。本年度は腎癌患者5例で検討した。(4)尿平成19年度に尿中に含まれるタンパク量が異なる尿検体をアガロースニ次元電気泳動法に応用する条件については検討を行った。この条件をもとに腎癌患者尿をアガロース二次元電気泳動法で比較検討を行った。上記の結果を総合し、腎癌新規腫瘍マーカー候補となりうるタンパク質候補を本年度中に確定でき検討した。
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