研究課題/領域番号 |
18591773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
宍戸 俊英 杏林大学, 医学部, 講師 (40307327)
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研究分担者 |
東原 英二 杏林大学, 医学部, 教授 (00092312)
桶川 隆嗣 杏林大学, 医学部, 准教授 (70306679)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 膀胱癌 / MAPキナーゼ / Elk-1 / MEK / ERK / S MEK 阻害薬 |
研究概要 |
近年、いくつかの癌細胞の増殖に分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)とその下流のElk-1が関連する報告がある。今回、我々は膀胱癌におけるElk-1の発現とMEK阻害剤によるMAPKリン酸化阻害効果を検討した。(対象と方法)15人の健常人と膀胱癌患者20人の尿中Elk-1mRNAの発現をRT-PCR法で評価した。同様に正常尿路上皮組織20検体と、膀胱の尿路上皮癌組織40検体におけるElk-1mRNAの発現をRT-PCR法で評価した。また、6種類膀胱癌細胞株でのMAPKの発現をMAPKアレイキットにて評価し、同細胞株でのMEK1/2阻害薬によるMAPKリン酸化抑制効果を調べた。 (結果)健常人の尿サンプル、正常の尿路上皮ではElk-1mRNAの発現を認めなかった。6種類の膀胱癌細胞株全てでElk-1rnRNAの発現を認めた。また、膀胱癌組織の70.0%でElk-1rnRNAの発現を認めた。Elk-1mRNA陽性率と組織学的悪性度、深達度に有意差は認められなかった。6種類の膀胱癌細胞における各種MAPK発現は様々で各細胞株間での特異性は認められなかった。TUNEL法によるMEK1/2阻害薬を用いた膀胱癌細胞株のアポトーシスは各々の細胞株でわずかではあるが観察する事が可能であった。MEK1/2阻害薬(UO126)によるMAPKリン酸化抑制効果は253JおよびTCCでわずかに認めただけであった。また、ERK2抑制効果を認めたのはUMUC3のみであった。(結論)正常尿路上皮でのElk-1発現は認められず、膀胱癌では比較的高頻度に発現していることを考慮すると、MAPK発現のみで癌の浸潤性や増殖性との関係を説明することはできず、最終的には核内のElk-1が活性化することにより癌の増殖がおこる可能性が示唆される。
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