研究概要 |
グラム陰性桿菌の菌体成分であるlipopolysaccharide(LPS)を前立腺に直接注射する(細菌感染型前立腺炎モデル),2)除睾術を行った後,30日間estradiolを皮下注射する(内分泌型前立腺炎モデル),3)前立腺皮膜下に0.4Nの塩Wt50μlを直接注入する(塩酸型前立腺炎モデル)を作成した。さらに,上記モデル作成後,排尿状態の解析(代謝ケージを用いた排尿記録と膀胱内持続注入による膀胱内圧、排尿量同時測定法)を行った。 代謝ケージの下に電子天秤を設置し,排尿すると排尿量が測定でき,その値が自動的に記録される装置を用いて排尿記録を測定した。飲水量の測定はドリンコメジャラーという水がこぼれないボトルを用いた。 膀胱内持続注入による膀胱内圧、排尿量同時測定法では,ポリエチレンカテーテル(PE-50,Becton Dickinson Co.Ltd.,USA)を膀胱痩カテーテルとして用いた。ハロセン麻酔下に下腹部正中切開を行い,膀胱痩カテーテルを挿入,圧トランスデューサーを介して膀胱内圧を測定する。圧トランスデューサー,膀胱内圧カテーテル,膀胱注入ラインは3方活栓を使用して接続する。生理食塩水の膀胱内注入には自動注入器を用いた(5ml/h)。モデル2)3)ではコントロール群と比べて有意な膀胱過活動がみとめられた。最大膀胱内圧には影響を及ぼさなかった。 また,アクティビティーモニター及び赤外線CCDカメラにより,下部尿路の疼痛に関連した行動変化を調べた。下部尿路由来の痛みの際に,ラットは体を丸めてうずくまり,活動性が低下することに着目し,この行動パターンをアクティビティーモニター及び赤外線CCDカメラに記録した。モデル2)では軽度ではあるが排尿後の活動性の低下が認められ,排尿に伴う痛みが存在している可能性が示唆された。 種々の前立腺炎動物モデルにおいて前立腺の組織学的炎症のみならず,排尿機能や疼痛レベルの上昇が認められることを明らかにした。
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