研究概要 |
1)マウス精原幹細胞株の樹立: 培養精原幹細胞(GS細胞)の観察を容易かつ確実にするために、GFPトランスジェニックマウス精巣からGS細胞を樹立し、実験に用いた。また減数分裂終了後に発現するHaspin遺伝子のプロモーターにGFP遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウス(Haspin-GFPマウス)の精巣からもGS細胞を樹立し、これも実験に用いた。 2)GS細胞からのex vivo精子形成実験: (1)in vitro精子形成実験-セルトリ細胞の細胞株である15P-1をFeeder細胞として、その上でGS細胞を培養した。培養開始後、経時的に分化マーカーとなる遺伝子(Mvh,Dmc1,Sycp-3,Calmegin,CREM-t,Acrosin)の発現をPCRで調べると早期から発現を検出できた。しかしながら、2週間ほどで細胞はアポトーシスに向かい分化を確認することは出来なかった。Haspin-GFP-GS細胞を用いた同様の実験でもGFPの発現を認めることは無かった。 (2)精細管再構成実験-マウス・ラットの胎仔・新生仔の精巣細胞を酵素処理して細胞浮遊液とし、細胞外器質と混和してヌードマウス背部皮下に注入移植した。精細管の再構成が確認され、若干の生殖細胞も認められた。同様の方法においてHaspin-GFP-GS細胞を混和することにより、それらの細胞が再構成精細管内で分化し、GFPの発現を確認した。すなわち半数体細胞(精子細胞)までの精子形成を精巣外において成功した。それらの精子細胞の妊孕能を確認するために、顕微授精を行い、健康な産仔を得た。
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