研究概要 |
今回の基盤研究により、生殖腺発達段階の前精祖細胞の特異的マーカーであり、雄性生殖細胞の細胞表面に特異的に発現している新規GPIアンカー型蛋白質であるTEX101に関して、精子成熟の分子機構における役割を解明するために、TEX101の分子解剖学的特徴付けを進めた。さらに、マウス精巣初代培養系を用いて、TEX101を標的とするshort hairpin RNA(shTEX101)を培養生殖細胞に導入し、TEX101発現のノックダウン解析する研究を立ち上げた。 マウス精巣よりpercollを用いて精母細胞が多数を占める分画を採取し、培養を行った。48時間の培養においても、蛋白質およびmRNAレベルにおいてもTEX101の発現が維持されていることを確認した。次に、GFP融合shRNA(shTEX101)の作製に成功し、上記初代培養細胞にトランスフェクションを試みたが、著しく導入の効率が悪いことが判明した。現在、in vivo electroporationも視野に入れ、導入改善の検討を進めている。 また、培養細胞株を用いたTEX101解析モデルの検索のため、ヒト小細胞癌(Lu-134,-139,140)、胚細胞腫瘍由来(NEC8,14)の細胞株を用いてTEX101のmRNAレベルでの発現をreal-time PCRで解析した。そのうち、Lu-140に微弱ながらTEX101の発現を認めた。また、対照としてHeLa、バーキットリンパ腫由来株(Raji)、単球性白血病細胞由来株(THP-1)を用いたが、RajiとTHP-1にもTEX101の発現を認めた。しかし、ヒト精巣のTEX101の発現量と比較すると数パーセント程度であり、さらに適当な細胞株を検索中である。
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