研究概要 |
GABAとGABA_B受容体に関しては、光顕及び電顕により頭帽後期においてGABA_<B1>とGABAが先体内にみられ、さらにGABA_<B2>が先体赤道部レベルの内先体膜と核膜との間隙である先体下腔に局在した。このことは、GABA_<B1>がN末端を、GABA_<B2>がC末端を認識する抗体であることと双方のサブユニットがGABAをリガンドとするヘテロダイマーを形成するという事実から、精子形成後期に精子細胞の成熟等にGABA_B受容体とGABAが機能的役割を示す可能性が示唆された。またreal time PCRによる実験などから精巣ではGABA_<B1c>やGABA<B1d>等のGABA_<B1a>以外のサブユニットがみられた。さらに精巣上体においてはGABA_<B1a>発現を認め、加えて精子形成期に各サブユニットの発現様式に違いが見られたことからサブユニット間の構成が精子発生過程で必要に応じて変化する可能性が示唆された。 GABA_A受容体の関与に関しては、RT-PCRによりα1,α5,β1-3,γ3およびGAD65,GAD67mRNAの発現を認めた。これらに対する蛍光免疫染色では、α1を除いたサブユニットとGADおよびGABAの陽性反応は精母細胞と精子細胞の核を取り囲むように細胞質全体に認められた。さらに精母細胞のパッチクランプではGABA添加によりC1^-チャネルの開口を示す電流の変化を認めた。これらのことは、初期の精子形成過程においてGABA_A受容体を介したGABAの関与を示唆する。またGABA_A受容体α1サブユニットのみは精母細胞と精子細胞の核内に斑点状の局在を示し、免疫電顕でもその反応は核内に観察された。さらに分裂中の精母細胞のユークロマチン部位に反応が強くみられたことからGABA_A受容体α1サブユニットの減数分裂における関与も示唆された。
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