研究概要 |
採血法による問題点 EDTA採血やクエン酸採血では遠心分離した血小板分画のカルシウムイオンがキレートされており,annexn Vの血小板膜表面の酸性リン脂質への結合が妨げられた.このため,カルシウムイオン存在下においても血小板がそれ以上活性化されず,凝集も起こらない実験系が必要である.一方,ヘパリン採血においてはこのような結合抑制は起こらないものの,検体によっては非特異的血小板凝集が起こり,実験結果の解釈には注意を要した. Annexin Vの蛍光標識の違いによる感度の差について Annexin VをFITC, Alexa Fluorの各蛍光色素にて標識し,感度の違いをflowcytometryを用いて検討した.FITC標識は経時的に蛍光強度の低下が見られるため,実験間の比較においては不都合であった.一方,Alexa Fluorは蛍光の退色速度が遅く,十分に実用性があると考えられた. ホルムアルデヒドによる血小板の固定 患者から採血後,遠心分離により血小板分画を分離した.その後ホルムアルデヒドを添加,洗浄し,経時的な血小板の活性化をAnnexin Vの血小板膜表面酸性リン脂質への結合をflowcytometryで定量することにより検討した.血小板は時間経過とともに活性化され,血小板膜表面に酸性リン脂質の発現を認めた.このためホルムアルデヒドを用いた血小板固定による血小板の保存は困難と考えられた.以上より他の固定の方法を用いるか,または,無固定のまま血小板を実験に供する必要があると考えられた.
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