研究課題
目的 : 近年、体外受精・胚移植(IVF-ET)技術の進歩により多くの不妊カップルが児を持つことが可能となり、特に重度の男性不妊症症例においては顕微授精により多くの受精卵を得ることができるようになった。ただ、初回体外受精・胚移植において十分な運動精子が得られる例においても、conventional IVFにより受精卵が得られないことも多々見られる。そこで、今回我々は受精可能な精子であるかを判別するため、体外受精時に採取された精子を自動精子分析装置(CASA・SQA)により解析を行った。方法 : 対象は、体外受精時に採取された精液中の運動精子数が10×10^6/ml以上得られ、conventional IVFにより体外受精を行った症例とした。媒精後約18時間の時点で前核が2つ以上みられた卵を受精と判断し、各症例を 1)受精率50%以上の群 2)受精率50%未満の群 3)受精卵の得られなかった群の3群に分け、精子自動精子分析装置(CASA・SQA)の各パラメーターとの関連を検討した。結果 : 対象の平均年齢は36.6歳(26-44歳)であった。また、各群間において運動精子数に有意な差を認めなかった。SQA自動精子分析装置においては、TFSC・TSC・SMIの各パラメーターにおいて受精率50%以上の群で他の2群と比べ、有意に高い値を示した。一方で、CASA精子自動精子分析装置(CASA)の結果では、精子のProgressive percentは受精率50%以上の群で他の2群と比べ有意に高い値を示した。ただCASAによるmovement characteristicの各パラメーターでは、受精率50%以上の群で他の2群と比べ、高い値を示す傾向を示したものの有意な差とはならなかった。結論 : 今回の結果より精子自動精子分析装置を用いることにより、conventional IVFを行う際に受精能の高い精子をより精度よく判別することが可能になると考えられた。
すべて 2008
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Reproductive Medicine and Biology 7
ページ: 143-149
Gastroenterology 135
ページ: 580-590