研究課題
1. 妊娠高血圧腎症(PE)70例において免疫の指標となるTh1/Th2比をflow cytometry(FCM)で求めた。正常妊娠59例でも同様にTh1/Th2比を求め、正常妊娠の75%タイル値以上をTh1優位、25〜75%タイルをTh1/Th2正常、25%タイル以下をTh2優位と規定した。その結果PE群ではTh1優位が46例と大半を占め従来の報告と一致したが、Th1/Th2比正常のものが16例、Th2優位型PEも8例に認められた。3群間で臨床症状を比較したところ、初産率、BMI、血圧、発症週数には差を認めなかったが、重症型の蛋白尿はTh2優位型で75%とTh1優位型の32.6%に比し有意に高率であり、重度の蛋白尿を呈する症例ではTh2優位のPEが多いことが判明した。またTh1/Th2比正常群では肝機能異常、血小板異常を呈する症例は皆無であり、臨床症状がTh1/Th2比により差を認めることを初めて証明した。2. PE症例の頸管粘液中のIL-8値を測定したところ、14/24(58.3%)が陽性であり、正常妊娠例の値(113/865 : 13.2%)に比し有意に高値を示し、PEと頸管内の炎症が関与することを初めて認めた(投稿準備中)。3. 切迫早産154例にIC取得の上、羊水中のサイトカインを測定したところ、絨毛膜羊膜炎(CAM)II度以上でIL-8、TNFαが上昇し、CAMIII度でIL-17が高値となった。IL-17は主としてCD4陽性のT細胞から産生されることをFCM、免疫組織染色で確認した。さらに羊膜間質細胞にはIL-17受容体が発現しており、TNFαとIL-17を羊膜間質細胞内に同時添加するとIL-8産生が相乗的に増加する現象を見出した。この反応系にIKK、p38、Map kinaseが関与することも明らかとなった。T細胞から産生されるIL-17がCAMの要因となっていることを初めて証明した。
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