研究課題/領域番号 |
18591800
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊沢 正郎 鳥取大学, 医学部, 准教授 (50032222)
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研究分担者 |
原田 省 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40218649)
寺川 直樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (90163906)
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キーワード | 子宮内膜症 / アロマターゼ遺伝子 / 遺伝子発現異常 / エピジェネティクス制御異常 / PKC / エストロゲン産生異常 |
研究概要 |
「子宮内膜症細胞にアロマターゼ遺伝子高発現をもたらす分子基盤にはエピジェネティクス制御が関与する」との仮説の検証を通して、子宮内膜症の高濃度エストロゲン環境を生じる分子基盤の解明をめざした。子宮内膜症由来間質細胞初代培養(子宮内膜症細胞)と正常子宮内膜由来間質細胞初代培養(子宮内膜細胞)をモデルとして用い、アロマターゼ遺伝子発現の実態を検討した。本研究により、子宮内膜症細胞はアロマターゼを高発現していることがin vitroで初めて証明した。さらに、想定したエピジェネティクス制御(脱メチル化)の観点より研究を推進した。これらの研究成果は、「子宮内膜症はエピジェネティクス制御異常病」という新たな疾患概念へ至る新たな糸口を示唆した。症例を重ね、成果を確固たるものにする過程で、アロマターゼ遺伝子の異常発現に起因する局所女性ホルモンがプロテインキナーゼC(PKC)活性に異常をもたらすという重要な観察をした。PKCは多くの遺伝子発現に関与することから子宮内膜症細胞におけるPKCの実態を検討することが病態解明の手掛かりとなると思われた。そこで、当初の計画と平行してPKCの実態解明が追加検討課題となった。当地は、冬期は症例確保が困難である。そのため、春季から秋季の期間において研究作業を実施する必要がある。したがって、当初計画の期間に更に9ヶ月を要した。これらの追加研究により、子宮内膜症細胞におけるアロマターゼ遺伝子の異常発現とPKCとの関連を強く示唆する新たな状況証拠を得た。 以上の研究は、トランスレーショナル研究として新たなブレイクスルーをもたらした。 尚、本研究課題の役割分担は以下のとおりである。(1)子宮内膜症患者由来間質細胞初代培養(子宮内膜症細胞)と正常子宮内膜由来間質細胞初代培養(子宮内膜細胞)の調製(原田、寺川)、(2)子宮内膜症細胞と子宮内膜細胞におけるアロマターゼ転写の検討(伊沢)、(3)子宮内膜症細胞におけるアロマターゼ転写に関与するプロモーターの検討(伊沢)、(4)子宮内膜細胞の脱メチル化処理によるアロマターゼ発現誘導の解析(伊沢)、(5)アロマターゼ遺伝子発現制御に関与するCpG配列の検索(伊沢)、(6)PKC活性へ影響を及ぼす因子の検索(伊沢)、(7)エストロゲン刺激に応答したPKC活性の分子基盤とその意義の解析(伊沢)、(8)結果の総括と論文作成(伊沢、原田、寺川)。
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