研究概要 |
双胎間輸血症候群(以下,TTTS)の発症機序と病態解明を行うために,一絨毛膜二羊膜性双胎(以下,MD双胎)を対象として,超音波Doppler法を用いた胎児・胎盤の血行動態の評価を行った.平成19年度の研究方法に則り,妊娠16週から25週のMD双胎を対象として,臍帯動脈,中大脳動脈,静脈管,下大静脈,臍静脈の血流波形計測を行い,同時にTTTSを発症したMD双胎での各血流波形の計測を行い,比較検討を行った.また,TTTSの診断基準をみたしていないが羊水量較差を認めるAmniotic Fluid Discordance(以下,AFD)症例における血行動態の変化を検討し,その後のTTTSの発症との関連性を検討した.また,TTTSでは,供血児の循環血液量が減少している事が病態として想定されるが,その病態を把握すると共に,治療における効果を見いだすため,供血児の血流を維持するmodified sequential methodを考案し,胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術において同治療方法を導入し,その効果の検討を行った,TTTSにおいては供血児の臍帯動脈血流における拡張期末期血流途絶/逆流が病態の悪化に関連する事が明らかとなった.また,AFDにおいても同所見がその後のTTTSの発症や胎児死亡等の予後不良との関連において有意な所見であり,TTTSでは,供血児の循環血液量不足が結果的にTTTSの発症や悪化に対し寄与している事が明らかとなった,また,modified sequential methodによるレーザー凝固によって,臍帯動脈血流途絶/逆流を呈している虚血児の生存予後は有意に改善する事が明らかとなり,供血児の循環塩液量不足は,TTTSの病態として重要な役割を担う因子である事が明らかとなった.
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