研究課題/領域番号 |
18591804
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
月森 清巳 九州大学, 大学病院, 講師 (90253450)
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研究分担者 |
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (40304779)
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助教 (30294929)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 好中球 / 活性酸素 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究では、好中球による酸化ストレスの発現機序の観察を介して、妊娠高血圧症候群における胎盤の形成障害と母体の血管内皮細胞を障害する機序とを関連付けることによって、本症の病態形成過程を明らかにすることを目的とした。この主旨に沿って、妊娠高血圧症候群症例における胎盤の形態、絨毛細胞の機能、好中球の機能、好中球による酸化ストレスの発現およびこれらの相互の関連について観察し、胎盤の形成障害と好中球の活性化との関連についてin vitroで検討を加えた。ついで、子宮胎盤循環障害ラットを用いて、胎盤の形態、絨毛細胞の機能、母獣好中球機能、好中球による酸化ストレスの発現および血管内皮細胞機能について経時的に観察し、胎盤の形成障害から全身の血管内皮細胞障害を引き起こす機序についてin vivoで検討を加えた。その結果、妊娠高血圧症候群症例におけるin vitroでの検討では、妊娠高血圧症候群では、好中球の活性酸素(O2^-)産生能が亢進し、このO2^-産生能が亢進した好中球は血管内皮細胞を障害すること、好中球による血管内皮細胞障害の機序には好中球の産生するフリーラジカル(H_2O_2およびONOO^-)が関与することが分かった。また、子宮胎盤循環障害ラットを用いたin vivoでの検討では、胎盤形成期にL-NAMEを投与した群では胎盤の形成障害、絨毛細胞のapoptosis、母獣血清中の好中球を活性化する炎症性サイトカインの上昇、高血圧、蛋白尿をきたすことが分かった。これらの成績から、妊娠高血圧症候群では、胎盤における虚血・再還流刺激により産生される物質の作用を介して好中球の活性化をきたし、母体酸化ストレスによる全身血管内皮細胞障害が引き起こされことが病態形成に関与していることが示唆された。
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