研究課題
基盤研究(C)
平成19年3月までに、妊婦約1000例に対して妊娠16〜23週に子宮動脈血流速度波形計測を行った。妊娠20〜23週、妊娠28〜29週および妊娠37週の採血時に、各々約1000例、500例、200例に妊婦より10mLの採血を行い、血清および血漿を分離し、-70℃で保存した。これらのコホートを用いて以下2っの研究成果が得られた。(1)コホート587例についての検討から、妊娠中期(妊娠20週前後)の子宮動脈血流速度波形notch depth index(NDI)上昇(深いnotch)と妊娠中期の高血圧前症/高血圧を用いたスクリーニングにおける妊娠高血圧腎症(以下PE)発症予知の感度(84%)は、各々単独でのスクリーニングに比べて(各々53%、63%)、PE発症予知の感度を大きく上昇させることを明らかにした。(2)妊娠16-23週に子官動脈血流速度波形計測を行い、かつ、妊娠16-23週、27-29週で血清PIGF、sFlt-1値を測定した単胎妊婦コホート261例についての検討から、妊娠中期に子宮動脈血流速度波形のノッチの深さが深い症例(NDI増加例)では、妊娠中期の血清PIGF値がすでに低値を示していること、また、妊娠中期にNDI増加及びPIGF低値を示した群は、妊娠28週前後の血清sFlt-1高値を示す割合とPE発症率が最も高いことを明らかにした。現在、妊娠高血圧腎症発症に深く関与するsoluble endoghnをPIGFあるいはsFlt-1と組み合わせた場合に、PE発症予定精度が高くなるかどうかを、これまでの研究に加えて検討中である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Hypertension Research Vol.30, No.2
ページ: 151-159