研究課題/領域番号 |
18591819
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研究機関 | 国立成育医療センター(研究所) |
研究代表者 |
林 聡 国立成育医療センター(研究所), 生殖・細胞医療研究部, 共同研究員 (60425717)
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研究分担者 |
梅澤 明弘 国立成育医療センター(研究所), 生殖・細胞医療研究部, 部長 (70213486)
秦 順一 国立成育医療センター, 名誉総長 (90051614)
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キーワード | 生殖医学 / 周産期 / 胎児治療 / 造血幹細胞 |
研究概要 |
胎児遺伝性血液疾患は、生後の造血幹細胞移植による治療が行なわれているが、この造血幹細胞移植は移植前処置に伴う免疫抑制剤あるいは放射線照射による合併症や移植後の移植片対宿主病(GVHD)などの副作用が問題とされ安全性の高い治療法とは言い難く、この副作用を最小限に抑えるためにはHLA適合ドナーを見つけることが必要とされる。しかしHLA適合ドナーを用意することは困難であることが多く、依然、小児の造血幹細胞移植は克服されるべき問題が残されている。胎児期は免疫が未熟であるため自己抗原以外に対して免疫学的トレランスが獲得することが可能であることが知られている。このことから移植前治療を行わなくてもドナー細胞の生着と免疫学的トレランスの獲得が可能であることから,胎児移植は従来の移植の問題点を克服することが可能である。 前年度に引き続き継続した研究は、胎児移植治療モデルの作成および免疫トレランスのメカニズムの解明であり、前者においては、作成したキメラマウスに対し、侵襲の少ないプロトコールを用いた細胞移植によりドナーキメリズムの増幅が可能であることを証明した。後者では、マウス胎児への細胞移植後に生着したドナー由来のT細胞分画の経時的な割合の変化から、マイクロキメリズムにおいては長期において拒絶されることを確認した。 今年度は特に、治療効果が十分得られるレベルのキメリズムの獲得が可能な治療法の開発に重点を置いた。造血幹細胞は造血系以外の様々な細胞(骨、筋、脂肪など)にも分化しうることが数多く報告されていることから、筋ジストロフィーのモデルマウスに子宮内造血幹細胞投与を行った。ドナー細胞が生着したキメラマウスに出現する症状の改善の有無と程度について検討を行い、ドナー細胞の生着率と症状改善の程度に関しての検討も同時に行った。
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