研究課題/領域番号 |
18591820
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新倉 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80261634)
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研究分担者 |
吉永 浩介 東北大学, 病院, 助教 (40343058)
伊藤 潔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70241594)
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
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キーワード | リンパ節転移 / ミッドカイン |
研究概要 |
リンパ節転移は極めて重要な予後因子であり、リンパ節転移を制御することは臨床腫瘍学の最重要課題の1つである。本年度初め、我々はin vivoにおける子宮癌のリンパ節転移および予後に関連する因子として、ケモカインの1つであるミッドカイン(MK)を同定した。しかし子宮体癌における本因子の作用機序については全く理解されていない。そこで我々はinvitroにおけるMKの機能解析を試みた。非MK発現ヒト子宮体癌細胞株Hecl-Aにヒト子宮体癌細胞株RL-95由来のMK遺伝子を導入したMK強制発現Hecl-A(Hecl-A-MK)を樹立した。MKは分泌タンパク質であり、Hecl-A-MKにおいて培養液中にMKが分泌されることも確認した。Hecl-A-MKを用いて、足場依存性増殖能、足場非依存性増殖能、移動能、浸潤能試験を行った。しかしながら、いずれにおいても非MK発現細胞とMK強制細胞の間で有意差を認めなかった。一方、Hecl-A-MKをBALB-nu/nuマウス皮下に移植したところ、非MK発現Hecl-Aと比較して増殖が促進される傾向が示され、in vivoにおいてMKが腫瘍増殖促進的に働くことが示唆された。またMKのshRNAを作製し、RL-95に導入することでMKがウイルスベクター量依存的に減少することを確認した。現在、MK強制発現用プラスミドおよびMKRNA干渉用レトロウイルスベクターにルシフェラーゼ遺伝子を載せ、リアルタイムin vivoイメージングシステムを用いてMKの腫瘍への影響を追跡調査しようとしている。MKはシスプラチンによる腎炎等への関連も報告されており、マウス移植後はリアルタイムin vivoイメージングシステムの利点を活かし薬剤投与時におけるMKの腫瘍への影響も合わせて観察できることから、本研究の成果はリンパ節転移を制御する遺伝子治療に直接的に結びつくトランスレーショナルリサーチとして発展する可能性が高いと考える。
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