研究課題/領域番号 |
18591821
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永瀬 智 東北大学, 病院, 講師 (00292326)
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研究分担者 |
新倉 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80261634)
吉永 浩介 東北大学, 病院, 助教 (40343058)
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
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キーワード | 広汎子宮全摘術 / 膀胱子宮靭帯 / 神経節 / 神経温存術式 / 骨盤筋膜 |
研究概要 |
浸潤子宮癌に対する根治手術として広汎子宮全摘出術が標準的に施行されている。この手術に伴う最大の術後合併症は手術により骨盤自律神経が損傷されることに起因する排尿障害である。特に対象となる患者の多くが30代から50代の女性であるために、こうして起こる排尿障害は重大なQOL低下を長期間引き起こしており、骨盤自律神経の損傷を最小限にする術式の確立が急務となっている。術後合併症として生じた排尿障害は半永久的なものとなることがあり、このことから、自律神経線維の損傷のみならず、神経節(ガングリオン)中の神経細胞自体の損傷が障害の程度を左右するのではないかと我々は推測した。術後膀胱機能の温存には手術時の膀胱子宮靭帯の処理が重要であることが知られており、膀胱子宮靭帯周囲の神経節(ガングリオン)分布を解明することが神経温存術式の確立につながると考え研究を行った。対象はホルマリン固定献体6例より得られた膀胱子宮靭帯後層組織8例(右側6例、左側2例)である。同部位の神経節細胞数は389-732(中央値561)であり、多くの神経節を含んでいることが初めて明らかとなった。そのうち、48%の神経節は静脈群の内側または膣側にみられ、19.2%は静脈群間に、13%は静脈群の外側に、19.8%は背側に認めた。この研究結果をもとに、74例に対して膀胱子宮靭帯後層付近の神経線維の走行を電気刺激で確認したところ、後層内とその背側に神経を認めたのが69%、後層になくその背側にのみ認めたものが15%、後層内にのみに認めたものを16%であった。新しい神経温存術式と術後排尿障害の頻度についての長期予後について明らかにするため、経過観察中である。
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