研究課題
基盤研究(C)
子宮頸癌の浸潤・転移におけるTSC403の役割(1)臨床検体での発現の検討:頸癌標本で、脈管侵襲の強い群とそれ以外に分け、TSC403蛋白の発現を免疫染色にて検討し、脈管侵襲著明群で有意にTSC403の発現増強を認めた。TSC403発現増強群において、原発巣と転移巣で発現を比較したところ、転移巣でTSC403発現細胞が多い傾向を示した。(2)TSC403の分子機能の解明:頸癌の細胞株であるTCSと、TSC403を過剰発現させたTCS-mtを、cDNA Microarrayを用いて解析し、TCS-mt細胞で、高発現している6遺伝子と低下している20遺伝子を同定した。これらの遺伝子には細胞接着性、浸潤に関与している遺伝子が含まれていた。HB-EGFによる子宮頸癌・間質相互作用の解明(1)頸癌細胞株に対するHB-EGFの作用:頚癌細胞株を用い、HB-EGF添加により、増殖能、浸潤能、転移能が亢進することを明らかにした。(2)間質細胞の増殖促進効果の解析:頸癌細胞株を子宮頚癌間質線維芽細胞と共培養もしくは単独で培養し、線維芽細胞の存在により増殖が促進されることを示した。(3)移植実験での線維芽細胞の効果の解析:頸癌間質線維芽細胞と頚癌細胞株をヌードマウス皮下に移植し、単独移植に比べ、腫瘍形成の促進を示した。以上より、頸癌の間質で、HB-EGFが癌細胞にパラクライン的に働き、増殖を促進していることを明らかにした。子宮頸癌におけるmRNA発現の解析(1)cDNA Microarrayを用いて頸癌のmRNA発現を正常頸部と比較し、5遺伝子の発現上昇、20遺伝子の発現低下を明らかにした。(2)発現をreal-time RT-PCR法を用いて確認し、insulin-like growth factor binding protein-5は頸癌での発現低下が有意であることが示された。(3)さらに、免疫染色法を用いて、IGFBP-5は正常頸部の上皮に強い発現がみられ、頸癌では発現の低下が見られた。これにより、IGFBP-5の発現低下が、頸癌発生に関わる可能性が示唆された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
International Journal of Cancer (In press)