研究課題/領域番号 |
18591835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助教 (30294929)
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研究分担者 |
宮本 新吾 福岡大学, 医学部, 准教授 (40209945)
中島 学 福岡大学, 薬学部, 教授 (50198074)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | RCAS1 / リンパ球アポトーシス / 腫瘍間質組織 / ELISA / ectodomain shedding / 造腫瘍性 / siRNA / 治療標的分子 |
研究概要 |
RCAS1は婦人科癌に高頻度に発現し、末梢血リンパ球を含む受容体発現細胞にアポトーシスを誘導する。腫瘍の臨床病理学的悪性度と相関するRCAS1の生物学的特性をより良く理解する目的で、本研究ではRCAS1発現と悪性形質獲得に関する分子機構、およびRCAS1分泌機構について解析を行った。以下に本課題における研究成果を記載する。1)RCAS1発現と悪性形質獲得に関する分子機構の解析:RCAS1遺伝子導入細胞を用いた検討では、in vitro細胞増殖能には変化は認められなかったが、ヌードマウス移植後の造腫瘍能では亢進が認められた。その一方で、RCAS1に対する特異的siRNAを細胞導入することでヌードマウスでの造腫瘍性が抑制され、RCAS1がin vivoにおける造腫瘍性と関連があることが確認された。この現象の背景として、RCAS1発現によりVEGF発現が亢進する結果、血管新生が促進することを明らかとした。2)RCAS1分泌機構に関する解析:(1)子宮頸癌、子宮体癌、および卵巣癌症例血清中のRCAS1についてELISA法を用いて測定したところ、これら全ての癌種において健常者に比しRCAS1濃度は高値であった。血中RCAS1値の推移は臨床経過と相関しており、治療効果を判定するマーカーとなり得ることが明らかとなった。さらに、患者血中に存在するRCAS1はRCAS1受容体発現細胞の細胞増殖抑制効果を有するが、RCAS1を免疫沈降法により除去することによって、部分的に細胞増殖抑制効果を減弱させることができた。以上からRCAS1が婦人科癌の新たなbiomarkerであることが示された。(2)RCAS1はphorbol ester刺激によるPKC-δ pathway、受容体型tyrosine kinaseに増殖因子が結合することで活性化されるRas-MAPK pathway、およびG-protein coupled receptorからミグナルが誘導されるtransactivation pathwayの3種の経路を介して分泌されることが明らかとなった。RCAS1はshedding機構により分泌されることで生物学的活性を獲得し、標的細胞に存在する受容体に結合した後にアポトーシスを誘導することが認められた。以上の知見から、RCAS1が婦入科癌治療における標的分子となり得ることが示唆された。
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