研究課題/領域番号 |
18591837
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
KHAN KHALEQUE 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60336162)
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研究分担者 |
北島 道夫 長崎大学, 医学部・酋学部附属病院, 助教 (50380845)
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キーワード | 子宮内膜症 / 細菌性エンドトキシン / TLR4 / 腹水 / 月経血 / Escherichia coli / PGE2 / 補体系 |
研究概要 |
私どもは、子宮内膜症患者腹水中には細菌性エンドトキシンが高濃度に存在し、その特異的受容体であるTLR4を介して子宮内膜症の増殖に関与していることを報告してきた。本研究では、子宮内膜症患者の月経血あるいは腹水中の細菌性エンドトキシンの由来に関して検討した。まず、Escherichia coli(E.. Coli、strainK-12、serotype、0111:B4)をLB(Laria-Bertani)培地で培養し、PGE2処理による大腸菌の増殖性の変化を検討した。子宮内膜症患者の月経血には、非内膜症患者に比較して有意に高い濃度のE.. coliが存在することを認めた。また、E.. coliの細胞壁構成成分であるエンドトキシンも有意に高い濃度で認められた。E.. coliの増殖は、種々の濃度のPGE2添加処理により有意に亢進した。子宮内膜症患者の月経血中のPGE2濃度は、非子宮内膜症患者の月経血や精漿に比較して有意に高いことが認められた。子宮内膜症および非子宮内膜症患者の末梢血からリンパ球を分離培養しPHAを添加したところ、両群で濃度依存的なリンパ球の増殖が認められた。それらにPGE2を添加したところリンパ球の増殖が抑制され、これらの作用は子宮内膜症患者由来のリンパ球培養系でのみ認められた。子宮内膜症患者の腹水あるいは子宮内膜からマクロファージあるいは内膜間質細胞を分離培養し、その培養上清をPHA添加リンパ球培養系に添加したところ、PHAのリンパ球増殖刺激作用が有意に抑制され、これらは選択的COX2阻害剤であるNS-398の添加で消失した。一方で、月経血中の補体C3およびC4濃度を計測したところ、内膜症患者の月経血では補体濃度が低下しており、補体系の低下は月経血中のE.. coliの増殖に関与していることが考えられた。これらの結果から、子宮内膜症患者の月経血中のPGE2と補体系が、その直接的な増殖刺激作用、あるいは間接的な免疫抑制作用により月経血でのE.. coliの混入を促進し、結果として子宮内膜症患者腹水中の細菌性エンドトキシン濃度の上昇を惹起しTLR-4を介した子宮内膜症の増殖に関与していることが示唆された。
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