子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部異形成、子宮頸部細胞診正常例について、子宮頸部に感染したヒトパピローマウイルス(HPV)のL1遺伝子領域PCR産物についてダイレクトシークエンシングによる同定を行い、ハイリスクバリアントの検索を行った。これらから同定したHPVの型は、6型から91型まで計31種類と未知の型4種類であった。これらのうち、33、58型は持続感染から高齢者の頸癌につながる潜伏期の長いハイリスク型と考えられる。同定したHPVバリアントは型内バリアントを含めると計85種類であった。世界的に広く感染がみられるハイリスクHPV型である、16、18、31、33、35、52、58型にも型内バリアントを検出した。浸潤癌より検出されたバリアントは、16型の5種類のうち3種類、18型の4種類全て、31型の2種類のうち1種類、33型の2種類のうち1種類、35型の3種類のうち1種類、52型の5種類のうち3種類、58型の2種類両方である。また、同様に、悪性型に分類される型であるが、その型内バリアントによっては浸潤癌から見いだされなかったバリアントが存在する型は、上記の16、31、33、35、52型以外にも、45、51、53、56、59、66、68、73型の各型でみられた。逆に良性型に分類されるが、その型内バリアントによっては浸潤癌より検出されるバリアントが存在する型もあった。54型、90型、91型にそうしたバリアントが存在した。
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