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2007 年度 実績報告書

植物葉緑体への遺伝子導入による分子標的抗転移薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18591842
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

小林 浩  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)

研究分担者 山田 嘉彦  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80275346)
金山 清二  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10423914)
キーワード癌転移 / 転移制御 / シグナル伝達
研究概要

我々はヒト羊水・尿中に癌細胞の浸潤を抑制する物質ビクニンが存在することを報告した。ヒト羊水由来ビクニンは胎児尿由来である。血中にはインターアルファトリプシンインヒビターが0.5mg/mlの濃度で存在する。これは重鎖2本と軽鎖1本より構成されているが、この軽鎖がビクニンに相当するたん白質である。ビクニン遺伝子を欠失させるとインターアルファトリプシンインヒビターの産生、分泌も阻害される。ビクニンの生理活性を検討するためにヒト卵巣癌細胞HRAにビクニンを添加したり、ビクニン遺伝子を導入すると、Src,ERK1/2,Aktの活性化が抑制され、結果としてサイトカイン産生やウロキナーゼなどのプロテアーゼ産生が抑制されることにより、炎症反応が阻止されることが知られている。同時に癌細胞の浸潤・転移も抑制される。
ヒト尿由来ビクニンはクニッツ構造を有する糖蛋白であり、がん転移抑制効果を有している生理物質である。ビクニンは癌細胞からの転移関連酵素であるウロキナーゼおよびその受容体の発現を抑制することができる。そこで今回は大豆にもクニッツ構造が確認できたのでこの物質(SKI)の作用をビクニンと比較した。使用した培養癌細胞はヒト卵巣癌細胞HRAとSKOV-3で、転移促進活性を促すためにサイトカインであるTGF-betaを添加した。SKIはTGF-beta添加によるウロキナーゼ産生を濃度依存性に抑制した。SKIはuPARの細胞内発現も抑制した。SKIの作用機序はMAPキナーゼのERKおよびp38のリン酸化を抑制することにより、NF-kBの核内転写を制御したためにウロキナーゼおよびその受容体の産生が抑制されたのである。将来のMAPキナーゼをターゲットにしたがん転移抑制薬として有望である。植物由来ビクニンにも癌転移抑制活性が確認できた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Hepatocyte growth factor induces anoikis resistance by up-regulation of cyclooxygenase-2 expression in uterine endometrial callcer cels.2008

    • 著者名/発表者名
      Kanayama S, Kobayashi H.
    • 雑誌名

      Oncol Rep. 19

      ページ: 117-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular structure and function analysis of bikunin on down-regulation of tumor necrosis factor-alpha expression in activated neutrophils.2008

    • 著者名/発表者名
      Kanayama S, Kobayashi H.
    • 雑誌名

      Cytokine 42(2)

      ページ: 191-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prevalence of Ovarian Cancer among Women with a CA125 Level of 35 U/ml or Less.2008

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi H
    • 雑誌名

      Gynecol.Obstet.Invest. 65

      ページ: 133-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 葉緑体工学を用いたがん転移抑制能力を有する大豆蛋白の大量生産系の開発と実証実験2007

    • 著者名/発表者名
      小林 浩
    • 学会等名
      研究振興財団研究発表会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2007-05-24

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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