研究概要 |
研究成果 <臨床研究>ロイコトリエン受容体拮抗剤の疼痛緩和効果の有無を、二重盲検試験にて確認した。計62名がエントリーし、50例で効果判定を行った。VAS値著効症例が、モンテルカスト群でプラセボ群より多く認められた(p=0.029)。NSAID使用数著効症例もモンテルカスト群で多かった(p=0.030)。平均値の比較においては両群間で有意差は無かったが、有効症例数の割合は明らかにモンテルカスト群で高いことがわかり、モンテルカストの疼痛改善効果が確認された。ロイコトリエン受容体拮抗剤には月経困難症の疼痛改善効果が期待できると結論した(Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol.148:195-8;2010)。 <IDO研究>IDOと子宮内膜内膜症の関連を検討した。正所性子宮内膜増殖期腺上皮、および卵巣子宮内膜症性嚢胞における検討を行ったが、正所性子宮内膜では増殖期のIDO発現は弱く、分泌期に顕著な発現を認め、また卵巣内膜症性嚢胞壁IDO活性は他の組織型と比べ高値であった。月経血中の腺上皮細胞の免疫染色を施行したところ、ここにもIDO陽性細胞群が確認された。そこで総数50症例の月経血を染色したところ、陽性例が内膜症例において非内膜症症例より多いことがわかった(第47回日本臨床細胞学会秋季大会)。 <その他> ラット内膜症モデルを用いた基礎研究では、間質部位に多くの平滑筋と神経線維の増成がおこっていることを明らかにした(Fertil Steril 92:1525-31:2009)。これは疼痛原因のメカニズムの一つを示すものである。また同モデルを用いたマイクロアレイによるトランスクリプトミクスを行ったところ、内膜症組織では正常子宮組織と比べosteopontin(OPN), Lyn, Vav, Runxl, L-selectinなどが高発現していることがわかった(Fertil Steril 88:1207-11:2007)。これらは細胞の接着、遊走、サイトカイン産生に関与する細胞内のシグナル伝達系の諸因子などであり、内膜症の炎症性疾患としての側面を反映している結果であった。
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