研究課題/領域番号 |
18591854
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本間 明宏 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (30312359)
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研究分担者 |
古田 康 北海道大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (60261301)
福田 諭 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125347)
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キーワード | 頭頸部癌 / 超選択的動注療法 / 予後因子 / DNAマイクロアレイ / クラスター解析 |
研究概要 |
北海道大学病院耳鼻咽喉科にて超選択的動注療法と放射線治療の同時併用(RADPLAT)を平成19年4月〜20年3月までに15例に対して行った。症例の内訳は喉頭4例、鼻副鼻腔4例、下咽頭3例、中咽頭2例、耳下腺1例、聴器1例であった。2006年までの111例を解析したところ(観察期間は中央値が2年3ケ月)、5年粗生存率は全体で69%、原発巣の5年制御率は88%であった。T別の局所制御では、T4a以下では91%と非常に良好で、T4bでも74%の局所制御が得られたが、T4bでは粗生存率は49%であった。T4b症例の局所制御率と生存率の差は主に遠隔転移死によるものであった。5年粗生存率を部位別でみると、喉頭(7例)100%、口腔(11例)79%、中咽頭(18例)77%、鼻副鼻腔(47例)76%と良好であったが、下咽頭(24例)49%と他の部位に比べ不良であった。予後が不良の下咽頭について分析すると、T4b症例あるいはN2c-3症例は、局所制御率、粗生存率ともに不良であった。また、原発巣が正中に位置している症例は局所制御率が低かった。 RADPLATを行う進行頭頸部癌症例を対象として、治療効果および予後を予測する因子を、臨床病理学的因子に加え、分子生物学的因子について検索・検討した。従来の臨床病期、腫瘍の進展範囲については上述の如く新たな知見が得られたが、分子指標群については有意な因子を確認するに至らなかった。原因としては、症例数が不十分であることと、局所に非常に強力な治療が行われるため、多少の放射線あるいは抗癌剤の低感受性は打ち消されてしまうためと推測している。今後も、さらに症例を積み重ね、臨床病理学的因子および分子生物学的因子について検討を加え、本治療の適応を明らかにしていきたい。
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