研究概要 |
我々はこれまでの研究過粒において、・蝸牛にはギャッブ結合蛋白の一つであるコネキシン26が豊富に発現していることを世界に先駆けす解明し、現在世界的に広く受け入れられている内耳におけるカリウムイオンリサイクル機構を提唱し、そして確立してきた(Kikuchi et al.,2000)。 内耳においては、未だ知られでいない多彩なイオンチャネル、トランスポーター、ギャップ結合蛋白等のイオン輸送に密接に関連しだ機能性蛋白が豊富に発現している可能性が極めて大きい。内耳におけるカリウムイオン輸送機構および種々の難聴病態を解明し、更にその治療法を確立するためには、これらの遺伝子の内耳における発現様式を詳細に把握することが必要不可欠の要素となる。 本研究においてはその第一段階として、免疫組織化学的手法を用いて、哺乳類内耳におけるイオン輸送機構関連タンパクの発現様式を詳細に解析した。我々は、ギャップ結合蛋白コネキシン30、コネキシン31、電位依存性カリウムチャネルKv3.1bおよびKv3.4、内向き整流性カリウムチャネルKir4.1、電位依存性ナトリウムチャネルNavl.6、水チャネルaquaporin-1およびaquaporin-4等の内示のイオン輸送機構に密接に関連した蛋白が内耳において極めて豊富に発現していることを確認した。 本研究の成果は内耳におけるカリウムイオンリサイクル機構の解明に大きく寄与するものであり、これを土台として、内耳性難聴の病態の解明および治療への新たな展望が開ける。ことが期待され、臨床的観点から見ても、その意義は極めて大きいものと言える。
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