膜蛋白であるCD47はそのリガンド分子である膜蛋白のSHPS-1とそれぞれの細胞外領域を介して相互作用し、双方向性にシグナルを伝える細胞間シグナル伝達システム(CD47-SHPS-1系)として様々な組織や細胞で機能することが明らかにされてきている。CD47とSHPS-1の相互作用は免疫系においても研究がすすめられており、炎症に伴いマクロファージや好中球が上皮内に遊走してくる際には、好中球上に発現するSHPS-1が上皮細胞間に局在するCD47と相互作用しCD47を活性化することにより、好中球の運動を促進するというモデルが想定される。本研究では、これまで調べられていない内耳におけるCD47の発現、局在を示し、更に内耳免疫の中心的な役割を担うと考えられている内リンパ嚢の上皮細胞と好中球の相互作用におけるCD47の関与を明らかにすることで、内耳免疫機構、内耳免疫疾患におけるCD47の生理的役割を解明することを目的としている。 平成18年は内耳におけるCD47、SHPS-1の発現、局在を調べるために、マウス(wild type)より内耳を摘出し、内リンパ嚢、蝸牛、前庭の切片を作成(whole mountまたはfrozen section)し、抗CD47抗体、抗SHPS-1抗体を用いて、それぞれにおけるCD47、SHPS-1の発現、局在の検索を試みている。ただまだはっきりとした結果は出ていない状態であり、現在も継続して検索中である。
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