癌の浸潤能に関する研究がなされ、SnailやTwistといった新しい分子moleculeの発見によりシグナル伝達が少しずつ機構があきらかになっている。しかし上皮細胞が間葉組織的性質をもつ事によって細胞の形態を変え、浸潤や転移における役割を変える機構について研究した。 私たちは細胞接着に関与するE-cadherinのプロモーター領域のメチル化が頭頚部癌に多くみられていることを確認した。さらに頭頚部癌には細胞運動に関係するRhoA遺伝子の発現亢進がよくみられることも報告した。今までEMTについて臨床的研究は全くない。頭頚部癌ではリンパ節転移も含め組織が得られやすい。そこで今回私たちが保有する頭頚部癌組織532検体を用いてEMTがどのように生じているか、そして臨床的検討も加えることによってEMT抑制が新しい癌治療になりうるか研究した。 EMTに伴う変化には、E-cadherinの低下に伴いcytokeratinの発現低下がおこり細胞の線維細胞化、浸潤能や運動能の獲得がおこる。そこにはEMT遺伝子プログラムの発現亢進あるいは抑制が生じている。
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