研究概要 |
Kayser(1895)は、安静状態で左右の鼻粘膜が交互に腫脹・退縮を繰り返すことを発見し、これをnasal cycleと名付けた。しかし最近までこのnasal cycleが夜間にどのようになっているのかは謎であった。今回、長期装用できるnasal cycle装置がRhinometrics社から開発されるにあたり、通常の鼻呼吸を行えている人と、行えていない人とではnasal cycleがどのように変わるかを、昼間・夜間にわたってどのようにちがうのか検討する予定をたてている。まずは、通常、鼻呼吸を行えており、鼻鏡検査にて左右鼻腔に極端な差を認めない健常人10人(24歳-37歳 平均年齢29.6±8.7歳 男性8人、女性2人)に対し、検査同意を得た上で夜間nasal cycle測定装置(Rhinometrics社製)を持ち帰らせ、任意の時間から24時間左右鼻孔に装着するように指示し、夜間睡眠を含め日常生活下での左右別の呼吸流量を観察した。覚醒時にnasal cycleを認めた者は6名、認めなかった者は4名であった。また覚醒時にnasal cycleをみとめたものは,夜間時もnasal cycleを認めた。また各nasal cycle周期の平均時間は106分であった。nasal cycleは個々にかなりのバリエーションがあり、これらをいかに分類するかは今後の検討課題と言える。かつ側臥位からの圧迫による鼻腔粘膜への反射も特に夜間睡眠時においてはこれらの検査結果にかかわる重要なFactorでありこれらをいかに処理するかは大事な要素と考えられた。これらの点を踏まえ、鼻呼吸障害や睡眠時無呼吸患者の人にまで研究対象をのばし今後nasal cycleの夜間動態についてより研究をすすめる方針である。
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