Kayserが、1895年に安静状態にて左右の鼻粘膜が交互に腫脹・退縮を繰り返すということを発見し、それをnasal cycleと名づけて以来、それらの研究は主に昼間時において発展した。 今回、これを長時間携帯できるRhinometrics社製のnasal cycle測定装置を使い夜間就寝時においてのnasal cycleのなぞを究明する目的にて今回研究がスタートした。 前年度は鼻閉なく鼻内内視鏡所見においても左右鼻腔において強い差をみとめない健常人10人(平均年齢29.6±8.7歳)に対し、夜間睡眠を含め日常生活下でのnasal cycleを長時間記録した。 昼夜間にNasal cycleを認めた者は6名であり、これらのnasal cycleは、全例、夜間就寝時のほうが昼間活動時にくらべてnasal cycleの周期が短くなることを確認した(夜間就寝しているかどうかはActigraphにて確認)。今年度はその上に、鼻閉があり鼻内内視鏡所見においても鼻中隔彎曲を認め、かつ肥厚性鼻炎などにより鼻腔がせまい人にたいして3人の昼夜間のnasal cycleを計測した。3人とも交互に左右鼻腔の腫脹・退縮を繰り返すnasal cycleを認めた。しかし健常人とのnasal cycleでの周期の時間のあきらかな差などは認めなかった。今年最後の1年にて鼻閉および無呼吸のある患者をより集め、夜間のnasal cycleを計測し、健常人とのnasal cycleにおける差異の有無を統計学上明らかにしてゆきたい。
|