研究概要 |
4週齢のハートレイ系雄モルモットを卵白アルブミンと水酸化アルミニウムにて2度腹腔内投与し,その後1週間連日鼻内投与して感作をさせ,その後更に11週間週2回鼻内に抗原投与し長期間の抗原刺激を行ったモデルを用いた(感作群)。対照群では11週間週2回鼻内に生理食塩水を投与し,デキサメサゾン群ではデキサメサゾンを,また,プランルカスト群ではプランルカストを11週間連日腹腔内投与した。最後の経鼻チャレンジの24時間後にモルモットの鼻粘膜を採取し,パラフィン切片を作成し,ヘマトキシリンエオジン,Alcian blue-periodic acid Schiff染色,Masson's Trichrome染色を行った。その結果,上皮細胞の破壊をみると,線毛が消失するなどの異常形態をもった細胞の割合がデキサメサゾン群とプランルカスト群では感作群に比べて有意に低下していた。鼻粘膜中の好酸球数および上皮の杯細胞数もデキサメサゾン群とプランルカスト群では感作群に比べて有意に低下していた。Masson's Trichrome染色で青染した細胞外マトリックスの面積も,デキサメサゾン群とプランルカスト群では感作群に比べて有意に低下していた。この傾向は鼻中隔粘膜にも,また,鼻甲介粘膜にもみられた。以上より,抗原刺激が長く続くことでもたらされる粘膜リモデリングは,デキサメサゾンとプランルカストにより抑制することが明らかになった。これより鼻アレルギーの粘膜リモデリングの形成にはロイコトリエンが関与することが考えられた。
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