研究課題
基盤研究(C)
近年、免疫寛容を誘導する分子として共抑制分子が注目されている。なかでもB7-H1(PD-L1)は腫瘍細胞に発現され、免疫寛容を介して宿主の抗腫瘍作用、すなわち腫瘍免疫からの回避を誘導する可能性が示唆されている。我々は日本人頭頸部癌患者の癌組織におけるB7-H1の発現をタンパクレベルおよびmRNAレベルにて観察した。舌、口腔、咽頭、喉頭の扁平上皮癌について検討したが、いずれの頭頸部癌組織にもB7-H1が発現していることがタンパクレベルで明らかとなった。また患者の癌組織よりmRNAを抽出し、RT-PCRにてB7-H1 mRNAが検出できるか検討した。さらにリアルタイムPCRにてmRNAを定量した。その結果、頭頸部癌組織にはB7-H1がmRNAレベルでも確認された。mRNA量と腫瘍のサイズも含めたステージングとの相関を検討した。その結果、B7-HlmRNA量と腫瘍サイズには相関を認めず、またリンパ節転移の有無や遠隔転移の有無でのB7-H1mRNA量に有意な差を認めなかった。本年度は再発との関連や生存率との相関などを検討したが、いずれもB7-H1mRNA量との有意な相関を認めなかった。また今回の研究ではsiRNAによるマウス腫瘍細胞株のB7-H1ノックダウンを試みた。フローサイトメーターを用いた検討で、マウスSCCVII細胞がB7-H1を発現することを確認した。B7-H1に対する全長RNA転写用のテンプレートDNAを作製し、T7RNAポリメラーゼでアンチセンス鎖、センス鎖RNAを転写し、さらにアニールさせdsRNAを作製した。dsRNAはDicerによって断片化した後siRNAを精製した。siRNAはトランスフェクション試薬を用いて細胞に導入した。しかしながらフローサイトメーターを用いた検討ではSCCVII細胞上のB7-H1には明らかな変化を認めなかった。トランスフェクション用の試薬に依存する可能性を考慮し、試薬をGeneSilencerからsiIMPORTER、lipofectamine RNAiMAXなどに変更したが結果は同様であった。
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