研究課題/領域番号 |
18591873
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高橋 晴雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90171511)
|
研究分担者 |
小路 武彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30170179)
福田 智美 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (40372776)
梅木 寛 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (10404310)
藤山 大祐 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (70437870)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
キーワード | 乳突蜂巣発育 / アポトーシス / Tunel染色 / 中耳炎 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / pneumatization |
研究概要 |
ヒト乳突蜂巣正常発育におけるアポトーシスの関与の有無の検討するため、当施設において行った耳科手術において、中耳炎既往がない症例26例から中耳炎手術時に乳突蜂巣骨組織を採取し、凍結切片を作成してアポトーシス細胞を観察するためにTUNEL染色による組織細胞化学的検討を行った。 26例中14例にTUNEL陽性細胞が認められた。さらに5歳以下の症例ではTUNEL陽性細胞が84.6%に認められ、5歳以上の症例より有意にTUNEL陽性細胞の出現率が高かった。また小児の中耳炎例ではTUNEL陽性細胞はみとめられなかった。 乳突蜂巣の発育は3-4歳までの幼少児期が最も旺盛で、5-6歳で緩やかになり、10歳前後でほぼ成人のサイズにまで発育する。幼少児期の中耳炎罹患により乳突蜂巣発育は抑制されることが知られているが、それにより中耳の換気・調圧が障害され、より中耳炎に罹患しやすく治癒しがたい状態となるため、中耳炎による乳突蜂巣発育抑制の機序解明は重要である。 今回の結果から、乳突蜂巣発育期ではアポトーシス細胞が見られ、年長者や中耳炎症例などの乳突蜂巣の発育が顕著でない例ではアポトーシス細胞が見られなかったことから、乳突蜂巣正常発育にアポトーシスが関与している可能性があるという重要な所見が示された。このアポトーシス細胞は破骨細胞である可能性があるが、骨芽細胞の可能性も否定できず、今後まずこれを同定し、ついでそこに働くサイトカイン等を究明することにより、中耳炎による乳突蜂巣の発育抑制の機序、さらにその予防法が解明される可能性がある。
|