研究概要 |
18年度は酵素型ADAM分子について頭頚部癌組織における定量的発現解析をスクリーニングすることを目的に実験を行なった。京都府立医科大学において手術的に摘出された標本から癌組織の一部及び1セーフティマージンの非癌部組織を陰性コントロールとして一部採取した。頭頚部癌組織(口腔・咽頭癌22例、甲状腺癌14例、唾液腺癌6例)について実験が可能であった。組織ホモジネートを行ない、total RNA抽出、逆転写(RT)反応を行ないcDNAを合成しADAM9,10,12,15,17,28について、標本から合成されたcDNAからインターナルコントロールをGAPDHとして定量的PCRを行ない、ADAM分子の発現量の解析を行なった。 それぞれの病理組織型の癌組織において非癌部組織を陰性コントロールとして比較し、癌組織において高発現しているADAM分子を検索した。また癌組織においてそれぞれの病理組織間の比較によって発現量に差を認める特徴的なADAM分子を検索した。甲状腺癌組織および唾液腺癌組織においては陰性コントローるである非癌部組織に比較して癌組織で高発現であるADAM分子はADAM17とADAM28であった。口腔・咽頭の扁平上皮癌においてはADAM12、ADAM17とADAM28であった。その発現量は口腔・咽頭扁平上皮癌が他に比べ多かった。今後さらに目標の症例数(各組織型30例)についての検討を達成し、重要性が予想される分子の組織内基質分解を検討していく予定である。
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