研究概要 |
20年度は18および19年度に行なった酵素型ADAM分子について頭頸部癌組織における半定量的発現解析のスクリーニングを継続し症例数を増やした。京都府立医科大学において手術的に摘出された標本から癌組織の部及びセーフティマージンの部の非癌部組織を陰性コントロールとして採取した。18年度からの総計で頭頸部癌組織(口腔・咽頭癌26例、甲状腺癌17例、唾液腺癌6例)について実験が可能であった。組織ホモジネートを行ない、total RNA抽出、逆転写(RT)反応を行ないcDNAを合成しADAM9,10,12,15,17,28について、標本から合成されたcDNAからインターナルコントロールをGAPDHとして半定量的PCRを行ない、ADAM分子の発現量について解析を行なった。それぞれの病理組織型の癌組織において非癌部組織を陰性コントロールとして比較し、癌組織において高発現しているADAM分子を検索した。また癌組織においてそれぞれの病理組織間の比較によって発現量に差を認める特徴的なADAM分子を検索した。甲状腺癌組織および唾液腺癌組織においては癌組織で高発現であるADAM分子はADAM17とADAM28であった。口腔・咽頭の扁平上皮癌においてはADAM12、ADAM17とADAM28であった。その発現量は口腔・咽頭扁平上皮癌が他に比べ多かった。病期、リンパ節および遠隔転移、再発、分化度、などの臨床病理学的因子との相関を確認することができず、頭頸部癌における機能解析を施行することが出来なかった。
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