研究概要 |
非常に粘稠な黄色の貯留液を有し、従来の治療に抵抗を示す難治性性中耳炎では多数の好酸球の浸潤がみられることから好酸球性中耳炎とよばれている。本研究はその機序の解明を目的とし以下の結果が得られた。 1)中耳ではIL-5,ecalectin,RANTES等の好酸球遊走・活性化因子がその局所で産生され、高濃度に存在する。 2)好酸球性中耳炎症例では抗原特異的IgEの産生のみられるものが高頻度に存在し、中耳局所で真菌などの異物により好酸球が誘導される可能性が示唆された。 3)好酸球性中耳炎症例における骨導閾値の解析を試みた結果、通常の慢性中耳炎症例に比較して4000Hzの骨導閾値が有意に上昇しており、高音部の感音難著が高頻度にかつより高度に生じている。骨導閾値上昇の危険因子は好酸球性炎症の高度なもの、細菌感染が合併しているものである 4)中耳貯留液中のIgE,ECP濃度の高いもので骨導閾値上昇が生じる。 5)好酸球性中耳炎の申耳粘膜ではPGE2の合成酵素であるm-PGES-1の発現が有意に低下していた。 6)好酸球性中耳炎患者の耳管機能は耳管閉鎖不全あるいは耳管開放症が基盤にあることを証明した。 7)トリアムシノロンアセトニドの中耳局所投与が非常に有効な治療法であることを証明した。
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