研究概要 |
好酸球浸潤性兎実験的副鼻腔炎モデルにおいて呼吸粘膜には多数の好酸球浸潤が認められ、上皮細胞障害や杯細胞化生とともに軽度の基底膜の肥厚も認められた。一方、嗅粘膜において好酸球浸潤は、好酸球浸潤が呼吸粘膜>嗅粘膜の群、呼吸粘膜〓嗅粘膜の群と分けられ、前者の群の方が多かった。嗅粘膜障害や杯細胞化生を示したものは後者の群に多く認められ、嗅細胞の減少も予想された。しかし、両群ともにボーマン腺の拡大が認められ、過剰分泌の可能性が示唆された。 ConAの増強、 SNAの減弱化が免疫染色で認められた。 iNOS, eNOSともに嗅粘膜、ボーマン腺に観察された。したがって、人に認められたように、動物実験おいても、好酸球性副鼻腔炎では活性好酸球による組織障害蛋白による嗅粘膜組織障害を起こし嗅覚障害を発症している可能性より、過剰分泌による嗅分子の嗅粘膜表面における接着を妨げていると予想された。今後は、ステロイド薬による好酸球性副鼻腔炎の改善モデルを作製し、その時の呼吸粘膜と嗅粘膜の修復状況を観察したい。 呼吸粘膜の3次元培養おいては、粘膜下組織をゲル状にし、その下に培養液で栄養させ、ゲルの上に呼吸上皮を引いた培養システムで、上皮細胞、杯細胞、基底細胞が認められている。一方、嗅粘膜上皮と繊維芽細胞や脳アストログリアの再構成による嗅粘膜の三次元培養を試みるも、数日すると嗅細胞が減少して基底細胞のみとなり、 cell lineの確立には至っていない。今後、上皮細胞の分化を支持すると言われるVitamin A加無血清培地を用いて、培養確立をめざしたい。
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