研究概要 |
舌下免疫療法は、注射法による従来の免疫療法に代わり、副作用の起きない方法として欧州ではすでに実用化されている。本邦ではスギ花粉症の患者の増加が社会問題化しており、人口の20%にも及ぶという報告もあり。スギ花粉症を薬物療法のような対症療法で治療するだけでなく、免疫療法によって根本的に治療することは他のアレルギー疾患の発症や合併をも阻止する可能性がある。しかし、舌下免疫療法を含め免疫療法の作用機序の解明は十分ではない。 この研究では、投与部位(口腔粘膜)における免疫学的応答を研究し治療効果発現のメカニズムを解明したい。昨年度の研究では、口蓋扁桃粘膜からマイクロアレイによっていくつかの候補遺伝子がわかり、抗原の口腔粘膜への投与によって増加するものと減少するものが複数あった。本年度はこれらのうちどの遺伝子の関与が大きいのか検討する。抗原投与によって変化したものは、抗原提示に関与していると思われる。 増加したものとしては、immunoglobulin J polypeptide, linker protein for immunoglobulin alpha and mu polypeptides、 DnaJ(Hsp40)homolog, subfamily A, member4、 proprotein convertase subtilisin/kexin type9などであり、減少したものはB-factor, properdin、 ceruloplasmin(ferroxidase)、 ATP-binding cassette, sub-family A(ABC1), member12などがあった。これらのRNAの変化をトータル40項目について検討し、スギ花粉症の季節前後で測定中である。
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