研究概要 |
スギ花粉症の根治的治療法として免疫療法(減感作療法)が行われているが、現行の注射法では副作用のため普及しづらい。そこで副作用の起こらない方法として舌下免疫療法が有力であり実用化が最も期待されている。舌下免疫療法の効果発現メカニズムを検討するために、抗原提示が行われていると想定される口蓋扁桃上皮での各種タンパクの変化を評価した。 スギ花粉症の舌下免疫療法のプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。治療前後で口蓋扁桃からスクレーピングし篇桃上皮を採取した。Applied Biosysytelns7900HT real time PCRシステムで測定し、GAPDH, GUSBの発現に対するターゲット遺伝子の相対定量値を求めた。 合計51検体の扁桃上皮を採取したが、RNAの収量の多い37検体についてのみ測定できた。治療前後のプラセボ群(n=9)と実薬群(n=8)について46遺伝子の測定を行った。2群間で変化のあったABCA12(ATP-binding cassette, sub family A, member I2),LGI4(leucine-rich repeat LGI faamily, member4),MESP1(mesoderm posterior 1 homolog),WFDC2(WAP four-disulfide core domain2),WFDC5について検討した。ABCA12、LGI4、MESP1、WFDC2およびWFDC5の発現は、プラセボ投与群で治療前後に減少する傾向を認めたが実薬群では増加していた。これらの遺伝子発現が舌下免疫療法実薬投与群で増加していることから、これがどのような機能を果たして治療効果に関連しているのか今後検討していく必要がある。
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