当初の計画通り、骨髄移植および並体結合の手技を用いて、モデルマウスにおける老人性難聴の予防機序を検討した。またリンパ球接種や胸腺移植、さらに分子生物学的手法による検討を加えた。その結果、老人性難聴の進行には骨髄細胞のうちのTリンパ球、特にヘルパーT細胞(Th)が関係しており、骨髄移植だけでなくTh接種や、このリンパ球を産生する胸腺移植によって、老人性難聴の進行を予防・軽減できること(抗老人性難聴作用)が明らかとなった。そこで、若齢マウスと老齢マウスとの間でTh の機能を比較したところ、TRAF3(TNF receptorassociated factor 3)遺伝子など、4つの遺伝子の関与が示唆された。
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