研究概要 |
平成18年度は愛知県がんセンター中央病院頭頸部外科において施行された舌癌手術症例の病理組織標本を用いてガラニンレセプター1とガラニンレセプター2の発現を、免疫組織染色法を用いて検討した。平成19年度は愛知医科大学において検討を行った。(平成18年度の結果)舌癌が対象であった。抗体はGene Tex社製を使用した。ガラニンレセプター1は正常組織で多く発現がみられた。しかし病変部位にはほとんど発現がみられなかった。ガラニンレセプター2は正常組織、病変部位ともほとんど発現がみられなカった。(平成19年度の結果)愛知医科大学において頭頸部癌標本を用い検討を行った。抗体はAlpha Diagnostic社製を用いた。その結果、正常組織ではガラニンレセプター1,2とも発現が見られることが多かった。しかし病変部位ではガラニンレセプター1の発現が低下し、逆にガラニンレセプター2が強く発現していることが判明した。この結果はガラニンレセプター1が癌抑制遺伝子として働き、さらにガラニンレセプター2が癌遺伝子として働いているのではないかという我々の仮説を肯定的に捉えうる結果であった。さらに耳下腺悪性腫瘍標本を用いて検討したところ耳下腺組織でもガラニンレセプター1と2の発現を確認した。また同一腫内に低悪性病変と高悪性病変が混在している症例を用いた結果、低悪性病変ではガラニンレセプター1の発現はガラニンレセプター2の発現と比べて高かった。しかしながら高悪性病変では逆にガラニンレセプター1の発現はガラニンレセプター2の発現と比べて低かった。この結果はやはりガラニンレセプター1が癌抑制遺伝子として働き、さらにガラニンレセプター2が癌遣伝子として働いているのではないかという我々の仮説を肯定的に捉えうる結果であった。今後更なる検討が必要と思われる。
|