研究概要 |
【Rom1遺伝子異常網膜変性マウスに関する研究】 眼底観察したところ、網膜粗造化が約5週齢で認められ、その変化はヘテロよりもホモで強く認められ、週齢とともに程度は強くなり、網膜血管も狭細化した。光顕では、外顆粒層の厚さや外節の長さは、野生型に比べヘテロで薄くまた短くなっており、ホモではその程度が強かった。それは週齢とともに進行していた。電顕では、網膜変性マウスの外節の長さは短く、discの直径は不均一になっていた。網膜電図は、野生型よりもヘテロで、ヘテロよりもホモで振幅は減弱していた。39週齢のホモではほとんど振幅を測定できなかった。以上の結果からRom1遺伝子異常優性遺伝網膜変性マウスは、ヒト網膜色素変性と同様な変化を生じており、モデル動物と考えられる。 【ヒトのROM1遺伝子解析】 常染色体優性網膜色素変性患者150家系の発端者の末梢血白血球から抽出したDNAを鋳型に、ROM1遺伝子の全エクソンの塩基配列をPCR-ダイレクトシークエンス法で決定した。ROM1遺伝子変異患者に対して、peripherin/RDS遺伝子も解析した。同定した変異に関して正常人96人を対象に解析した。ROM1遺伝子にLeu141Ser変異を1家系(家系1)、Pro332Thr変異を1家系(家系2)、Leu114insG変異を2家系(家系3,4)に認めた。RDS遺伝子に家系1でAsp186Val変異、家系2でAla339Thr変異を認めたが、家系3,4では調べた範囲で変異はなかった。これらの変異は、正常人96人中、Leu141Ser変異が2人、Pro332Thr変異が0人、Leu114insG変異が1人、Asp186Val変異が0人、Ala339Thr変異が0人、いずれもヘテロ接合体で認められた。臨床像は、定型RPから区画性RP、血管アーケードに沿って軽度の変性を呈するものと多様性がみられた。
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