同じ東北大学創生応用センター発生分化解析分野の中山教授が作製したp27^<Kip1>ノックアウト(KO)マウスを用いて、網膜よりニューロスフェアー法で網膜前駆細胞を調整して、網膜変性動物に移植することを目的とした。 まずこのマウスのヘテロを交配させることにより、安定してホモのp27KOマウスが生まれる状態にまでシステムを確立させた。最初に、このマウスを組織学的に、また電気生理学的に継時的な検討することをおこなった。P27(-/-)マウスはp27(+/-)あるいはwild typeに比較して網膜全層が厚くなっており、統計学的に有意差が見られた。また視神経も太くなっていた。この差はマウスが年齢を重ねるたびにより明らかになっていった。また、興味深いことに網膜が厚いp27(-/-)マウスは網膜電図で振幅を比較するとp27(+/-)マウス、wild typeマウスよりも有意に低下しており、この差も年齢とともにさらに明らかになっていった。 このマウスの網膜最周辺部、毛様体との境界部、虹彩を切り出し、既報に従いニューロスフェアー法で網膜前駆細胞の作成を試みているところである。現時点での試みでは、一部の細胞にnestin陽性細胞が免疫染色で確認されたために、フローサイトメーター(FACS)とreal-time PCRで各種神経マーカー陽性細胞の割合を確認する予定である。また、ホモ接合で網膜変性を持つマウスがなかなか入手できない状況であり、これは今後もできるだけ早く入手し、本マウスと掛け合わせる予定である。
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